入り口で名前を言い、会費を支払い参加手続きを済ませていると、「おーいY。Yじゃないか!」と呼びかけられる。初めての参加、他にYなる人物がいるのかと声の方向を見やると右側の壁寄りの席に紳士が2名座っている。手前の人は知らない人である、その奥の人物は知り合いであった。
ゼミの同期生のN氏であった。思いがけないところで出会ったものである。お二人の席の隣は、「お姐さん」のためにリザーブされているかと思ったが、空いているとのこと。N氏の隣に座らせていただき、ご挨拶する。
テーブルの上にはお造り、いなり寿司、晒しタマネギと豆腐のサラダが並んでい
る。座ると若い女性がどうぞお召し上がりくださいとガラスの器を出していただく
。見ると冷々の「ところてん」であった。季節は夏である。
会は程なく日本泉さんの「ふなくちとり」の乾杯で始まった。
この会は日曜日に「ざっぶん」さんを借り切って開催される、定員25名の内7名は蔵の方である。積み重ねた歴史により、最初から打ち解けて、ワイワイガヤガヤである。
次々に供される銘酒、料理と会話で息つく暇もなく時は流れる。しかし、開会宣言はあるが、終わりは無い。酒が無くなるまでの長丁場である。
午後4時頃であったろうか、銘酒の味見と会話に夢中になっていると、バタンと人の倒れる音がした。誰か病人でも出たかと驚いたが、見ると若人が小上がりの上に伸びている。深酔いしたようである、店の方は落ち着いたもので、手早く座布団をたたみ枕を作り、そのまま横にさせる。どうも、時に起こる事のようである。長丁場、最後まで完走すれば、無事是名馬である。
【お料理】
・お造り
中トロまぐろ、しゃこ、秋刀魚、白身(鱸?)
それぞれ美味しいが、季節のはしり秋刀魚が美味しく、しゃこは小振りだが茹
でたて、噛むと旨みが流れ出るのがわかる。
・焼き魚
「季節の美味しさ」は鮎がテーマである。
大振りの長良川の鮎が焼きたての状態で、一人一人配られる。塩が打ってあり
カリッと焼かれているので川魚の生臭さはない。本来ならばそのままかぶりつ
くところであるが、周囲、手を汚しそうなので、箸でいただく。新鮮で脂が良
くのっている。
季節の味に満足していると、暫くして、再び塩焼きの鮎が配られる。今度は、
和歌山産とのこと。サプライズである。利くのは酒だけではないのだ、鮎も利
くのである。
「兄貴」氏は、この和歌山産は身は○○○だが、腹は今年食った鮎で最も旨い
と評価された。日頃はサザエのワタ、秋刀魚の腹、鮎の腹は食べない筆者であ
るが通人の言葉である、素直に従い腹をいただく事にした。
長良産に比べると小振りであるが、腹に白子があり、腹の苦みにまったりとし
た味を加えて間違いなく美味しいものであった。しかし、「兄貴」氏のそれは
雌の鮎だったように思えるがどうだったのだろう。
フレッシュな長良産、熟した和歌山産それぞれ夏の美味であった。
・一夜干しのふぐ
よくある硬い干物でなく、本当の一夜干しでジューシーである。
・蛤の串の干物
硬いがよく噛んでいるとじんわりとした旨みが口に広がる、酒の肴にはもって
こいである。
これはどこかの蔵のおみやげらしい。最初のところてんもおみやげらしい。
・鱸の兜焼き
・いなり寿司
誰か好きな人がいるらしい。筆者も好き。
・晒しタマネギと豆腐のサラダ
・冷やし釜揚げうどん
氷水の張られた桶に浮かべられて、夏の味わいである。
・最後はバースデイ・ケーキ
どなたかが誕生日とかで、ケーキに蝋燭を立て、ハッピバースデイを全員で歌
う。是は遠慮したので味はわからないが、美味しいものに違いない。
【銘酒】
お待たせしました。利いた銘酒の数々です。
(評価は独断と偏見の産物、一つの意見としてお読みください。)
T 出品酒
<純米酒を楽しむ>
@愛媛 京ひな 一刀両断 純米大吟醸
吟醸香はあまり無い。透明で雑味のない味わいだが、厚みが感じられない、
こなれすぎており過熟成なのだろうか。
残味は酸の後、軽い苦みが残る。評価7.5。
A愛知 長珍 純米吟醸 生詰
吟醸香あり。五味は分離せず調和感のある味。敢えて言えば吟醸酒に多い苦
味系。残味にややピリ感あり。評価7.5。
B福井 梵 熟成純米大吟醸 純米大吟醸
吟醸香あり。メーカーが2年熟成した熟成酒。五味分離しない厚みのある味
である。広がり感はあまり無く、味が真ん中に寄る。評価8.0。
<今日の贅沢・大吟醸入賞酒・飲み比べ>
C滋賀 松の司 特別大吟醸 出品酒
吟醸香あり。 厚みのある、調和感のある味わい。広がりもあり、ゆったり
とした気持ちのよい世界。残身も嫌みがない、軽い麹の味が微かに尾を引く
。評価9.0。
D岐阜 玉柏 大吟醸 金賞受賞酒
吟醸香あり。 調和した味で広がりもある。熟成酒特有のものか、飲み下ろ
した後の香りが強い。きつい印象が残る。評価8.5。
E徳島 芳水 特別仕込み大吟醸 吟味
吟醸香あり。 五味分離せず調和感のある味、味に厚みがあり、活動的、フ
レッシュな世界。残味もスーッと消えていく。一級品である。評価9.5。
F滋賀 喜楽長 大吟醸金賞受賞酒
吟醸香あり。 金賞受賞酒らしい味わいの酒。芳水の後飲むと広がり、厚み
でやや劣る気がする。残味にややピリ感あり、キレのきつい印象。
評価8.5。
<熟・醇を飲む>
G徳島 芳水 特別仕込み大吟醸 吟香 H14BY
吟醸香あり。果実の香り、梨の香りがする。14BYの3年熟成酒である。
広がりがあり、厚みのある味が中から吹き上がってくる感じがする。
力が漲っている。上の芳水と比べると、味の躍動感、飲み下ろした後の香り
がより強い。素晴らしい酒である。評価9.5+α。