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2007年5月27(日)土岐市で開催された第4回美濃地酒を楽しむ会に参加しました。

 

この会は、酒仙房 大竹(瑞浪市)、お米とお酒の ほった(中津川市)、古川酒店(多治見市)の酒店によって主催されている。

30度を超える夏のような日になった。
JR中央線の車窓からの風景は、田には水が張られ、田植えも済んでいた。田の向こうには、若葉の竹藪が見え、その先には、植林された杉林が整然とした姿を見せている。
季節は、気づかないうちに、先に先にと進んでいる。

会場のセラトピア土岐は、駅から徒歩で10分程度の近さである。
開場時間の13:30前に着いたが、すでに同好の人達は集まっている。
2階の会場入り口には参加蔵の菰樽が並べられ華やかな雰囲気である。

 

会場入り口で、参加費を支払うと、参加蔵および出品酒が記載された資料とガラス製の盃、おつまみ(さきイカ、柿の種)が渡される。盃は会終了後、返却することになっている。 参加費は1,000円である、会場費、酒代、おつまみを考えれば、盃は反復使用することも納得できる。おつまみと盃はこの会の特色である。

会場に入ると、まだ開催前なので、参加者は周辺の椅子に腰掛けている人のみであり、主催者、蔵の人とおぼしき人達が、最後の準備を行っている。
正面には「第4回美濃地酒を楽しむ会」の横断幕が掲げられ、その下には、参加蔵の菰樽が並べられ、会場には酒造り唄が流れている。

 

思ったより華やかで、いい感じである。

会場には、丸テーブルが置かれ、2つの蔵が1つのテーブルに出品酒を置き、試飲が出来るようになっている。試飲しながら、蔵の方と親しく話をすることが出来る。
入り口近くのテーブルでは、利き酒マッチングが行われている。
新聞紙にくるまれた銘柄を飲み、並べられた各蔵の出品酒のどれと同じか当てるゲームである。
反対側には、各蔵の仕込み水が1升瓶に詰められ、和らぎ水として自由に飲むことが出来る。

 


【参加蔵と出品酒】
  (寸評は、個人的な嗜好に拠っているので、参考程度にしてください。)

  1. 三千盛 (多治見市 https://www.michisakari.com/ )

    1. 三千盛 麗醸(れいじょう) 純米大吟醸
      最初甘く、スッキリしているが、酸味の後、軽く苦味があり、後口は辛味系。
      スッキリとした厚みのある大吟醸。
    2. 三千盛 悠醸 純米大吟醸
      ナッツ系の香り、厚い酸味あり。後口は辛味系、やや残るのもある。
    3. 三千盛 小仕込み純米 純米大吟醸
      酸味が表に出た丸い世界の純米大吟醸。後口は嫌味無く良い。
      辛口スッキリの三千盛の世界とは違うが、三千盛の大吟醸である。

  2. 白扇酒造 (加茂郡八百津町 http://www.hakusenshuzou.jp/ )

    1. 花美蔵 本醸造
      甘い入口の後、酸味のある味。後口はよい、軽いアルコール味有り。
    2. 花美蔵 純米酒 「蔵」
      酸味が中心の味、後口は辛味系。燗向きの酒。
    3. 純米吟醸 花美蔵 「花」
      酸味のある純米酒のような吟醸酒。透明感有り、スッキリとして後口に軽い苦味がある。
    4. 福来純 三年熟成本みりん
      甘い入口の後、どろりとした旨みあり、後口は長い甘味がある。残り香に仄かな紹興酒の香り有り。

  3. 渡辺酒造醸 (大垣市 http://www.minonishiki.com/ )

    1. 白雪姫 純米大吟醸
      酸味中心の味、後口は辛味系。
    2. 白雪姫 特別本醸造
      酸味の強い味、後口は辛味系。アルコール味有り。
    3. あさちゃんのどぶろく
      粕の入ったにごり酒。甘酸っぱい味。後口は、甘苦になるが、嫌味はない。

  4. 恵那醸造 (中津川市 http://www.kujiranami.jp/ )

    1. 鯨波 純米吟醸
      吟醸香有り。酸味のあるフレッシュな味、厚い味である。後口は甘苦。
    2. 鯨波 純米
      酸味のある味。早く味が終わる。
    3. 鯨波 本醸造
      純吟、純米に比し、酸味が薄く、まったりとした味。後口にアルコール味。

  5. 蔵元やまだ (加茂郡 http://www.kura-yamada.com/ )

    1. 純米 開 KAI 火入れ
      岐阜県開発の多酸製の酵母を使用。フレッシュな酸、厚みのある味、
      葡萄酒に近い世界。
    2. 純米 開 KAI 生
      上と同じものの生バージョン。濁りと霞の中間ぐらいの澱のある酒。
      シュワシュワの発泡感有り、炭酸の入ったワインの世界。
    3. 純米吟醸 玉柏 二百八十八夜
      香り有り。酸味が抑えられて、広がりがあり後半に苦甘がある。後口は軽い辛味。
    4. 玉柏 あんどん燗 本醸造
      軽い入口で、軽い印象だが厚い旨み有り。燗の提供が有れば酸が表に出て味わいが変わる感じがする。冷や燗いずれも良さそう。

  6. はざま酒造 (中津川市 http://www.enasan.jp/ )

    1. 五味饗宴 吟醸原酒 1年熟成
      甘い入口の後、辛口になる。燗にすると、酸が表面に出てくる。
    2. 恵那山 純米吟醸
      酸味のある味。後口は甘く、苦味がある。
    3. 恵那山 特別本醸造
      酸味のあるスタンダードな本醸造。アルコールの味がある。

  7. 御代櫻醸造 (美濃加茂市 https://miyozakura.co.jp/ )

    1. 御代櫻 有機純米大吟醸 豊穣春秋
      香り良く、スッキリとした広がり有り、吟醸酒の世界。
      後口は軽い苦味系だが気にならない。
    2. 御代櫻 特別純米 無濾過生原酒 しぼりたて
      甘い香り、ふんわりとした甘苦の味、透明感はある。
      スッキリとしているが次第に辛くなる。後口は辛味系。
    3. 御代櫻 淡桜咲(あさき) 特別純米
      ワイン酵母の酒。フレッシュな丸い酸の味、葡萄酒の世界。
      後口は軽くはないが酸味系。やまだの開と同系の世界。

  8. 岩村醸造 (恵那市 http://www.torokko.co.jp/ )

    1. 女城主 純米生一本
      広がりのある軽い世界で、やや枯れた印象、酸味は残っている。
      残り香に軽い老香を感じる。燗向きの酒。
    2. 女城主 特別本醸造
      甘苦の味。アルコールの味有り。
    3. 女城主 山廃純米 16BY17BY混合
      広がりのある透明な世界、山廃としては軽い世界、熟した感じで、滑らか、嫌味無い。燗向き。

  9. 小坂酒造場 (美濃市 https://www.kuramoto-kosaka.com/ )

    1. 百春 純米大吟醸 梲(うだつ)
      あまり吟香はない。酸味がまだ生きている味、純米に近い吟醸酒。広がりはある。
      保冷タンク貯蔵とのこと。
    2. 百春 さんやほう
      酸味を中心とした旨酒。燗向き。
    3. 百春 大吟醸生貯蔵酒
      軽いナッツの香り、酸味中心の味後口は甘苦。

  10. 林酒造 (可児市 https://www.minotengu.co.jp/ )

    1. 美濃天狗 いひょうゑ 18BY生原酒
      軽い吟香あり、甘い入口で広がりのある吟醸酒の世界。バランスの取れた味だが、敢えて言えば甘苦系。後口の最後に僅かにピリ辛あり。
    2. 美濃天狗 鼻高々 18BY生原酒
      透明感のある、バランスの取れた厚みのある酒。中盤から甘く、後口は辛味系。
    3. 美濃天狗 純米吟醸 18BY生原酒
      甘く酸味のある厚い味
【仕込み水】
会場に、各蔵の仕込み水が、和らぎ水として提供されており、一カ所に集中しているので利き酒ならぬ利き水が出来たのは、良い企画である。
利き水は酒より判りにくいが、印象だけ書いてみる。
  1. 三千盛   旨みのある水、ミネラルが豊富、後口に軽い渋み
  2. 白扇酒造  軽い水、柔らかく、後味もよい
  3. 渡辺酒造醸 丸い感じの水、後口良い。
  4. 恵那醸造  軽い水、後口に仄かな苦味
  5. 蔵元やまだ 丸い味、硬くも柔らかくもない中間の感じ。いい水。
  6. はざま酒造 やや硬めの印象
  7. 御代櫻   軽い感じの水、いい水
  8. 岩村醸造 (飲み忘れ)
  9. 小坂酒造場 丸い水、やや軟水か、良い水
  10. 林酒造   入り口軽い、旨みのある水
[試飲の印象]
  1. 価格の問題もあるが、やはり大吟醸は美味しかった。
    • 美濃天狗 いひょうゑ これが本日最も美味しかった。
    • 三千盛 小仕込み純米 純米大吟醸
      一般的な大吟醸とは違う、三千盛らしい純米大吟醸
    • 御代櫻 有機純米大吟醸 豊穣春秋
      香りの良い、吟醸酒の世界
  2. 印象に残ったもの
    • 蔵元やまだ 純米 開 KAI
      火入れと生の違いが面白かった。岐阜県開発の多酸製酵母はワイン酵母と関係があるのだろうか。
    • 福来純 三年熟成本みりん
      お酒では無いが、旨みと長い甘い後味と香りが面白かった。
      調味料としてだけではなく、シロップとして使うとか、新しい用途が考えられるような気がした。
【感想】
  1. このような地方の蔵の地酒に親しく近づける機会が提供されることは嬉しいことである。
  2. 会場も広く、設営も旨く行われていて快適であった。会場の広さからすれば、もっと参加者が多い方が良い。事前の宣伝を、岐阜、名古屋方面にも前広に行うと良いと思う。
  3. 仕込み水が一堂に集められており、仕込み水の飲み比べが出来るのは、良い企画だと思う。
  4. 敢えて希望を言えば以下の2点
    • 燗向きの酒が多いように感じたので、蔵によっては行っていたが、燗も飲めるようにして欲しい。
    • 岐阜県の鑑評会で優秀な成績を収めた蔵の入賞酒も飲んでみたい。
      岩村醸造の女城主、蔵元やまだの玉柏など参加費とは別の料金を支払うことで飲めるようにしていただくと有難い。

(報告 Y)