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2008/3/9 第24回地方銘酒を楽しむ会 鵜呑会(うのかい)に参加しました。

 

 

間もなく司会の案内で試飲会の開始宣言があり、今日参加された蔵の紹介がある。
今日の参加蔵は12蔵である。

  1. (株)吉乃川  新潟
  2. 七笑酒造  長野
  3. (有)蒲酒造  岐阜
  4. 小町酒造(株)  岐阜
  5. 岩村醸造(株)  岐阜
  6. 千古乃岩酒造(株)  岐阜
  7. (株)三千盛  岐阜
  8. 関谷醸造(株)  愛知
  9. 山崎(合)  愛知
  10. 東春酒造(株)  愛知
  11. 司牡丹酒造(株)  高知
  12. 中野BC  和歌山

壇上に並ばれた方には、最近よくお会いする方もおられる。

【試飲結果私見】
用意された出品酒は、一覧表に載っているものだけで118種。テーブルにはNo.120も見かけたので120種以上、本数にして150本以上らしい。入場者は120名としてもとても飲みきれる量ではない。

初めての参加のため要領を得ないが、矢張り壇上の酒から始めることにした。人の少ない番号の多い方から始めたが、若い方にたどり着くまでに無くなってしまったものもあり、壇上の酒すべてを利けなかったのは残念である。
段を下りてテーブルを回り、目にとまったものを利いて回ることにした。目的を定めても120種以上あるので探し回るのは難しい。テーブルを回り面白そうなものを利くのが最も良い方法である。

以下に利いた酒の寸評と評価を記載するが、あくまで筆者個人の嗜好による結果であり客観性を持つものではないことを、予めお断りする。

  1. 李白 しぼりたて生 純米大吟醸  李白酒造(島根)
    まったりとした大らかな味後口は苦味系。
  2. 嘉美心 大島修一 純米大吟醸 嘉美心酒造(岡山)
    入り口軽く広がりあり、その後酸がふくらむ。後口は軽い苦味系。評価9.0。
  3. 龍力 酒蔵の春米のささやき 生 大吟醸 (株)本田商店(兵庫)
    麹の味あり、ふくらみのある酸、苦味が表面に浮く。評価8.5。
  4. 天領 純米大吟醸 無濾過 天領酒造(岐阜)
    ふくらみある厚い味、後口は軽みもあるが次第に苦辛になる。評価9.2。
  5. 東龍 双白鷺(そうはくろ) 笹にごり 生 東春酒造(愛知)
    淡い入り口、甘く淡泊にふくらむ。ゆったりとした上品な世界。
    後口は軽い苦味が締める。残り香に吟醸香あり。評価9.5。
  6. 浦霞 槽掛ヶ雫酒 大吟醸 佐浦(宮城)
    蜂蜜の香り。甘い入り口、酸味は薄い。後口は軽い苦味系。評価9.0。
  7. 一ノ蔵 松山天 純米大吟醸 一ノ蔵(宮城)
    軽い入り口、軽い酸だがフルーティな酸である。
    後口に苦辛無くスッキリしている。評価9.2。
  8. 千古乃岩 斗瓶取り 大吟醸 千古乃岩酒造(岐阜)
    軽い入り口。前半軽いが途中から酸が盛り返す。中休みの間がある。
    後口は軽い苦味系。評価8.8。
  9. 七笑 華笑 大吟醸 七笑酒造(長野)
    甘い入り口、軽い世界、ふくらみがあり上品である。後口に辛味、苦味が残る。評価9.0。
  10. 極上吉乃川 蔵出し一番無濾過原酒 大吟醸 吉乃川(新潟)
    吟醸香高い。軽い入り口でふくらみのある吟醸酒の世界。軽い発泡感を感じる。
    後口は軽い辛味系。評価9.5。
  11. 真澄 夢殿 純米大吟醸 宮坂醸造株(長野)
    軽い入り口。フルーティな酸味。軽い麹の味がある。新酒の趣きがまだある。評価9.0。
  12. 白真弓 しぼりたて 大寒一番 (有)蒲酒造場(岐阜)
    軽い入り口だが、次に甘くトロリとした味。透明感はない。評価8.8。
  13. まんさくの花 吟の精一度火入れ低温瓶囲い 純米吟醸 日の丸醸造(秋田)
    味わいのある厚みのある味。後口は苦味系。純米酒の風格の吟醸酒。評価8.0。
  14. 吉乃川 六段仕込み新酒 本醸造 吉乃川(新潟)
    癖のない味わい。バランスが取れている。後口も特段の癖無い。燗にするとふくらみが出ると思う。食中酒に万能か? 評価8.5。
  15. 小弓鶴 琥珀酔 古酒 小弓鶴酒造(愛知)
    立ち香の老香高い。味は良い。後口も老香。老香を通過すれば味の良い酒。評価7.5。
  16. 天寿 初しぼり生 米から育てた 純米 天寿酒造(秋田)
    甘いふくらみのあるフルーティな酸。後口は癖がない甘味系。評価9.0
  17. 八鶴(はちつる) あらばしり 生 八戸酒類八鶴工場(青森)
    酸味に寄った味。麹臭あり。後口は苦味系。新酒らしい世界。評価8.0。
  18. 鳳陽 純米吟醸 内ヶ崎酒造店(宮城)
    軽いスッキリとした世界。酸が薄く、端麗なること水の如し。個性がある。評価8.0。
  19. 超久 平成15年氷室貯蔵生 純米吟醸 中野BC(和歌山)
    トロリとした味わいの甘い世界。老香は感じない。評価8.8。
  20. 大七 生酛 純米 大七酒造(福島)
    生酛にしては軽い酸。透明感があり、癖のない後口。評価8.8。
    この酒にはファンが付いていて、来る人ごとにこれは良いと話しかけていた。
  21. 久寿玉 しぼりたて生 平瀬酒造店(岐阜)
    麹臭あり。甘・酸・苦の濃い味。後口は辛い。新酒の荒さを残した味。評価8.5。
  22. 七笑 山笑(さんしょう) 生原酒 七笑酒造(長野)
    甘く後口は苦い吟醸酒の典型。評価8.5。
  23. 嘉美心 桃花源 うまさけ三昧 特別純米 嘉美心酒造(岡山)
    甘い味、軽い酸。残り香に保存臭を感じる。評価8.0。
  24. 大山 純米吟醸 吟水花 加藤嘉八郎酒造(山形)
    軽い入り口。甘味な軽い酸の味。後口も癖がない。 評価9.0。
  25. 八重垣 たんぽぽ 純米 ヤヱガキ酒造(兵庫)
    林檎酸の利いた味。ジュースの世界である。評価8.0。
  26. 司牡丹 船中八策 超辛口 司牡丹酒造(高知)
    スッキリとした軽い世界、透明感が高いので軽い印象だが味はある。味の偏り無い。酒だけ飲み続ける事になる危険な酒。四国の酒らしい。評価8.0。
  27. 鶴亀 蔵元相伝 純米大吟醸 上原酒造(新潟)
    軽い入り口、ふくらみ在り。香りに特徴、カラメルのようなナッツのような香り。
    熟成酒だろう。評価8.5。
  28. 窓乃梅 あらばしり生 純米吟醸 窓乃梅酒造(佐賀)
    酸味に寄った味。麹の味あり。まだ荒い段階。評価8.0。
  29. 北雪 大吟醸 北雪酒造(新潟)
    軽い入り口。酸は薄く端麗水の如し。軽い世界だがふくらみあり。
    残香に吟醸香。評価9.2。
  30. 西の関 美吟 純米吟醸 萱島酒造(大分)
    軽い甘い入り口。味の癖はない。後口は軽い辛味系。
    スタンダードな純米吟醸の世界。評価8.8。
  31. 天狗舞 純米 生原酒 車多酒造(石川)
    酸の豊かな味。麹の味。後口はよい。新酒らしい世界。評価8.5。
  32. 蓬莱泉 生酒 吟醸 関谷醸造(愛知)
    甘苦系の吟醸酒。評価8.5。
  33. 都美人 木桶 山廃 都美人酒造(兵庫)
    味わい系の酒。評価8.0。
  34. 東龍 旬 生原酒 特別本醸造 東春酒造(愛知)
    甘いフルーティな酸。麹の味がある。後口は苦味系。
  35. 東龍 蔵 純米吟醸 東春酒造(愛知)
    甘い入り口。酸の豊かな味。後口は特段の癖はない。
  36. 新政 立春朝搾り 厳守 新政酒造(秋田)
    入り口甘く、フルーティな酸がある。麹の味がする。評価8.5。

印象を書き漏らしたものもあり40種位利いたとすれば、全体の三分の一である。全貌を理解するためには、もう2回以上参加する必要がある。

利き酒と平行して壇上では、柏枝師匠が参加蔵の方にインタービューを行っている。今回9回目の師匠はもう主催者側の一員のようにお酒を楽しみながらマイクを握っている。サービース精神旺盛な師匠である。

続いて、利き当ての正解者の表彰。入場券番号による抽選会が行われた。

最後は、飲みきれなかったお酒の「残酒チャリティ」である。
これは、残ったお酒を欲しい方は出口の係の人に寄付をして持ち帰るものらしい。
筆者は行わなかったので、正式なルールは分からないが、基本的には寄付なのだからいくらでも良いのだろうが、筆者が横を通り過ぎる時、真澄の夢殿を手にした人が係の人から“このお酒は高いのだから、もう一声”と言われているお方も居られた。

外に出ると春が近いせいか、まだ明るい。快い酔いに任せて春日井駅まで歩くことにする。
大通りから離れ、住宅街の中をふらりふらり歩いていくと、春の到来を告げているものがある。
ある家の前の紅梅は盛りである。

少し行くと、白木蓮のものと思われる枝先の蕾がふっくらと柔らかく膨らんだ姿を見せている。白木蓮は大きくそして清楚な花である。白木蓮の後はいよいよ櫻の花見である。

今年もまた花の下で銘酒を酌み交わしながら日本酒を楽しむ仲間と談笑しながら幸せな一時を過ごす事が出来るだろうと考えて地蔵川に沿って歩いていると水面に鴨の姿が見えた。
あまり綺麗な水とも思えない都市河川なのだが、鴨たちはそれでものんびりと泳ぎ回っている。

右から一羽の白い鳥が鴨たちの上を飛び越えて、もう少し上の水面に降りた。
白鷺である。

【感想】
今回初めて参加したが、内容のある日本酒のお祭りであった。
第24回の文字が語るように歴史のある会は、内容が充実している。真打ちの落語に数多の銘酒もさることながら、主催者が商売抜きで日本酒を楽しんで貰おうとしていることがよく感じられる会である。
参加者100名である大きな規模だが、会場にカメラを持ち込んでいたケーブルテレビは事前の放送を許可されなかったそうである。理由はこれ以上参加者が増えては困るそうである。
来年がもう待ち遠しい会である。