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日本酒の会 sake nagoya 「酒蔵見学」報告(大倉本家)の報告
とき:2015年2月22(日)
酒蔵:大倉本家(奈良県香芝市鎌田692)
http://www.kinko-ookura.com/
さて、合宿二日目である。
都合で一日目夕方からの参加になったのだが、昨日は厳しい夜だった。
幹事準備の奈良酒、紀州酒、三州酒。居並ぶ猛者たちと手合せを繰り返して午前0時。迎え撃つ会員も一人消え二人消え、酒への愛を熱く語るうちに、大人の夜は更けていった。
「おはようございます」
「ああどうぞ。開いてます」
宿の係が布団をたたみに…と思ったら、メンバーだった。少し寝過ごしたが、流石に日本酒発祥の地の酒。酔い醒めがよい。
昨夜と同じ大広間では、いつもの旅館の朝食が待つ。
誰かが言った。
「こりゃ何だ」
見ると、少し茶色いお粥状のものがある。聞けば茶粥(写真左下)とのこと。ほうじ茶を布の袋に入れて作るらしい。飲みすぎたあくる日はこんな料理がありがたい。
お世話になった井谷屋さんをあとに近鉄長谷寺駅へ向かった。
日本酒の会 sake nagoyaは、正しい日本酒の会だ。定例会だけで年間150種類飲む爛れた日本酒ラバーの集団だ。私は、昨日の夜も、心の中で「神様に挨拶にも行かんですまん、すまん」と手を合わせていた。
電車で30分、JR三輪駅に着いた。聖地、三輪である。
近くの纏向遺跡が、邪馬台国の跡と言われるからではない。三輪の神様は、日本最初の酒の神様だからだ。sakenagoya バイヤーI氏の自宅にもあると噂の酒林(杉林)も大神(おおみわ)神社の神木が杉であることに因むという。参道には地元奈良を中心に関西一円の蔵の酒樽が奉納されている。
一同作法に従い、手と口を清めたが、ふと見ると手水舎の水口が酒樽と蛇となっている。「不許葷酒入山門」ではないようだ。
隣でメンバーが何やら神妙に祈っている。どうせロクなことではない。
心の声が聞こえた。
「今日も美味しく飲めますように」
「今日も鱈腹飲めますように」
杉の木がワシワシ揺れた。
誰かが言った。
「酒を仕込むと美味くなる霊水がある」
酒の神様、三輪山の麓から湧く水を使うと酒が美味くなる??また、誰かが言った。
「近くの三島由紀夫が参拝した神社の境内に霊水がある」
聞けば、歩いて5分ぐらいとのこと。酒が湧いているわけでもないのにと思いながら、杜氏の祖先 高橋活日命を祭る神社を参拝し、狭井神社に向かう。
社の裏手には霊水の流れ出る岩があった。ただし岩から自然に水が湧き出しているのではない。岩の中に配管がありボタンを押すと霊水が流れ出る仕掛けだった。一寸喉を潤す。
途中見つけた大美和の社展望台では、東は神体山である三輪山、西には大和盆地が一望でき、古代の歴史に思いを馳せながら神社を後にした。
ところで三輪といえば三輪素麺。40年前の高校の修学旅行では、ケッと思いながらお昼に素麺を食べた。しかし今日は寒い。素直ににゅうめんを食べよう。
「酒だ。酒だ」
でも、今から伺う大倉本家さんに敬意を表し、今日は止めておこう。
そうめん処 森正
(奈良県桜井市三輪535)
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