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日本酒の会 sake nagoya 「酒蔵見学」報告(大倉本家)の報告

とき:2015年2月22(日)
酒蔵:大倉本家(奈良県香芝市鎌田692)
http://www.kinko-ookura.com/

 

昼食を終え、今回の合宿のもう一つの目的地、大倉本家さんに向かう。近鉄五位堂駅からタクシーで約10分、奈良特有の細かい道を右に左に。集落の中に目指す蔵元さんはある。

金鼓・大倉で知られる大倉本家さんは、1896年、明治29年の創業。120年に及ぶ歴史を持つ山廃造りを得意とする蔵だ。私は、名古屋のある試飲会で山廃をいただき、その酸味を柱にした複雑な味わいに目を見張ったことがある。その時から是非一度訪問したいと思っていたが今日やっとその念願が叶うこととなった。
金鼓の酒樽が両脇に据えた立派な門を潜ると母屋が目に飛び込んでくる。

大倉本家さん

 

「母屋の建築方式は、大和棟と呼び、切妻の草葺と瓦葺が組み合わされています。夏は涼しく、冬は涼しいと言われていますが、夏は扇風機を付けっぱなし、冬は天井が高いので大変寒いです」
蔵元の大倉隆彦さんがユーモアのある語り口で説明してくれる。屋根の一段低くなった瓦の部分は釜場になっており、屋根の一部から煙が抜けるような構造になっている。
現在の4代目の蔵元さんは、横浜で会社務めをしていたが、先代が体調を崩したのをきっかけに、帰郷。しかし、蔵経営の厳しさを知っていた先代からは、なかなか蔵再開の了解が得られず、3年間の説得の末「勝手にせい」と了解をもらい、蔵を再開したという。

母屋

 

「現在、製造はどれぐらいですか」と誰かが訪ねる。
「昔は、6000石ぐらいなこともありましたが、今は300~350石ぐらいです」
つまり一升瓶3万本。希少なお酒である。

蔵元の大倉隆彦さん

 

少量用洗米機、連続蒸米機、蒸し器、そして3室ある真新しい製麹室に案内いただく。
「製麹室は20年度に思い切って、整備しました。それまではどうしても蒸米がよく乾かなかったのですが、よく乾くようになり、麹米がよく締まるようになりました」

蒸し器

真新しい製麹室

 

その後、急な階段を2階に上がり酒母室を案内いただく。この酒母室で、山廃仕込みの作業が行われているのだ。皆造を終えた酒母室はガランとしている。速醸の場合、二週間で完成する酒母が、山廃の場合30日以上かかる。どうしても広いスペースが必要になる。

酒母室

 

「山廃で造るとどんなお酒になりますか」と誰かが尋ねた。「速醸はどちらかというと軽快になりますが、山廃は濃淳になります。生酛・山廃では蔵の中の自然の乳酸菌を取り込み、酒母を造ります。そのあと、早湧しないよう品温を上下させて米を溶かすのです。生酛と山廃の違いは酛立ての有無です。生酛・山廃では酛の温度管理が長期間にわたり、しかも手作業での管理なので大変です」
酒母室には、品温のコントロールのための暖気樽やフィンタイプの冷却器が、きれいに洗浄され保管してあった。

暖気樽

 

「酒母室は二階ですが、蒸米はどうやって2階に運ぶのですか」また誰かが聞いた。
「以前はエアシュータを使っていましたが、今は担いで運びます。反対に、下のタンクへは桶に汲んで手作業で下ろします。四人での作業なので大変です」
品質向上のため、人力で蒸米を運ぶ蔵があると聞いたことがある。階段に設置した荷揚機の力を借りても大変なことである。
私は、大変お値打ちで大変クオリティの高い山廃純米「陽光」」を愛飲しているが、こんなこととは…
酒質を高めるためには買ってでも苦労をするという「どS」ならぬ「どM」の世界であった。

仕込みタンク

 

最後に13種類試飲させていただく。

13種類試飲

 

「やはり生原がよく出ます。酵母は、主に7号系で、一部明利酵母もあります。15BYの熟成酒も試飲ください」
7号の落ち着き、明利の優しい香り、備前雄町の味のり、15BYの熟成。
パワフルな生原を中心に凝縮された旨味やしっかりした酸味、香ばしい香りを十分堪能した一日となった。
HPにあった“近道をせず、ごまかさず”質の良いお酒づくりを目指す。今後もそんなお酒を期待したい。

最後に、皆造を終えて三日目という一息ついたばかりの時期に、日本酒の会sake nagoyaの蔵見学をご了解いただいた大倉本家の大倉隆彦様にお礼申し上げたい。

記念写真

 

報告:T

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